2019年台風15号 市原ゴルフガーデン
館山から北上し、最後に問題となっている市原ゴルフガーデンを見に行きました。
目的地に近づくにつれ、ゴルフ練習場特有の聳え立つ鉄骨とフェンスが遠目に見えてきましたが、その形状は明らかにおかしく現場は報道で見るよりも無惨な状況でした。
看板も無惨に吹き飛び、”デン”しか残っていない有様。
被害を受けた住民の方々に配慮し、かなり遠くに車両を止めて歩いて現場に向かいましたが、この位置からでもフェンスが異常を来していることが分かります。
鉄骨が倒れてきた住宅街の一角。鉄骨が直撃した家屋は見事に屋根が破壊され骨組みが露出しています。
鉄骨の直撃を免れた家々にも茶系のネットが覆い被さっており、それを巻き上げて玄関から出入りしている住戸も有られました。
近付いてみると鉄骨の大きさに改めて驚きます。
吹き飛んだ鉄骨の一部が外れて横たわっていますが、これですら直撃を受けていればただ事では済みません。
ひと区画違うエリアでも数件の住戸が被害を受けていました。家全体に投網が投げられた様な住宅も存在しますが、この網を外す作業だけでも簡単ではないでしょう。
3方向のフェンスのうち、1方向のみが倒壊したため練習場を囲うように建てられた住宅地において明暗が分かれています。
今までゴルフ練習場をこれほど時間をかけて観察したことが有りませんが、巨大な建造物であることを改めて感じます。
鉄骨の倒壊によって電線が引っ張られ電柱も折れています。
この日から漸く作業開始なのか、電力会社の多数のバケット車が到着していました。
周辺を暫く歩いてみましたが、ゴルフ練習場は極めて古いものの周囲の住宅は軒並み新しく築10年~20年といったところ。
練習場は1973年開業との事なので46年も経過しているため、当時練習場しかなかった場所に次々に住宅が建設された様です。道路を挟んだ向かいなどにも、建って間もない建物が多数点在していました。
今回ゴルフ練習場は強風で鉄骨支柱が倒壊しているので、周辺も多大な損害が出ているものとばかり思っていたら全く被害は見受けられません。
周囲より突出して高い鉄骨フェンスが強風を受けることになりましたが、ネットを下ろしていなかった事や構造の老朽化によって倒壊した可能性が高いですね。
練習場入口側より。
ショットを打つ建物もかなり強風で損傷していますが、それ以前に建物自体の老朽化が激しいですね。
サイディングの部分補修の状況を見ても、これまでも度々損傷を受けた部位だけ応急措置して延命していたのだと感じます。
最も被害状況が激しいのは入口から右手のエリアでした。
これは酷い。報道によると支柱一本の重量は10tらしいのですが、こんな物が倒れてきてはひとたまりも有りません。
鉄骨が千切れています。果たしてどれだけの風圧を受ければこの様に倒壊するのでしょうか。
基礎を覗いてみましたが持ち上げられた基礎コンクリートがかなり劣化している様でした。
経年劣化もありますが、46年前のコンクリートは恐らくクランプの規定も曖昧で、骨材も適当な物が使われていたのではないでしょうか。
H鋼の厚さは10mmほどでしょうか。叩いてみましたが意外に軽い音がしました。現行法ではこの大きさのH鋼に対して厚さは不十分でしょう。
この惨状、有り得ない光景です。
発生から15日も経過して未だに手つかずという状況が信じがたい。
4台の車両が無惨にも直撃を受け大破しています。
練習場オーナーと被害住居者との民事ではありますが、事が事だけに行政が介入し、まずは被害を受けた人々の救済を最優先すべきではないでしょうか。
今回実際に被害状況を目にし改めて深く考えさせられました。
今後も同様の災害が繰り返される訳ですから、対策や対処方法を事前に考え備えを行っておく必要があります。
我家は昨年の台風17号でかなり怖い思いをしたので、雨戸が無いガラスには全てフィルム張りを行い、強度が不足すると思わる窓には窓全体をカバーするアルミ板を事前に準備しましたが、今回の様な強風に襲われては無傷では済みません。
温暖化は進むばかりですから、核シェルターの様な住宅がこれからのトレンドになる可能性は大ですね。